羊の夜をビールで洗う

シングルファーザーなプログラマーのワンオペ育児&暮らしのブログ。

山本文緒さん「再婚生活」に見る、うつ闘病記。

直近の読書エントリで、田中圭一さんの「うつヌケ」、岡映里さんの「自分を好きになろう」と、うつからの回復をテーマにした本の紹介記事を書きましたが、もう少し関連する本の話を続けてみます。

 

今回は大分前に読んでいて、ずっと記事にまとめたいと思っていた山本文緒さんの「再婚生活」という本についてです。

 

 

山本文緒さんは、女性の作家さんで、2001年に「プラナリア」で直木賞を受賞されています。ご本人の経歴からか、OLを主人公にした小説が多く、NHKでドラマにもなった「ブルーもしくはブルー」という作品が、私は好きです。

 

「再婚生活」は、その山本文緒さんが2003年から2006年に書けて記したエッセイ(というかほぼ日記)がまとめられた書籍です。

 

文庫版の前書きによると、この「再婚生活」は雑誌掲載当初は、タイトルの通り「再婚とはどんな生活か」を綴る主旨ではじまったものだそうです。しかし、連載の過程で山本さんのうつの具合が悪くなったため、作者の意図に反してほぼ全編がうつ病闘病記になってしまったという、異色のエッセイとなっています。

 

日記は途中、中断期間を挟むため、そこを境に前半と後半に分かれています。特に前半部分はうつの症状が悪くなっていく期間の日記であるため、文庫本の前書きには、同様の症状を持つ方にお勧めしにくい内容である旨の注意書きが、著者本人によって記されています(文庫版にのみ、中断期間の出来事が回想的に付け加えられていますが、こちらにも同様の注意書きがあります)。

 

そんな本書の一番の特徴は、形式が日記であるがゆえに、うつの状態にある人の生活のリズムがありのままに記された記録になっている、ということだと思います。

 

日記の中で山本さんは、毎日ではないですが、だいたい以下のようなことを書き残されています。

 

  • 睡眠時間(起床・就寝時間)
  • 飲酒の量
  • 食事の内容(自炊か、外食か)と、その味
  • 原稿のペース
  • 薬を飲んだ量とタイミング
  • 日常で感じるダルさ(ダルさ指数と著者は言い表している)

 

日記は比較的長い期間に渡って書かれているのですが、その期間でこれらの指標のリズムが微妙に変化していきます。それは、良くなっている時期も悪くなっている時期も、決して分かりやすい変化ではなく、三歩進んで二歩下がる(あるいはその逆の)ような分かりにくい変化です。

 

けれど、その変化が日記の形式でたんたんと綴られていることが、うつという実体の掴みにくい物を理解するための、小さなきっかけになり得るのではないかと感じました。

 

日記の中で著者が、主治医との対話や入院後の生活など、治療の経緯を細かく書き残されているのも、本書の特徴だと思います。

 

うつ病の治療って、医者に行ってすぐに良くなるわけではないので、治療の過程や成果が分かりにくいと思うんですよね。本当に治療して良くなる病気なのかな?と医者に行くのをためらってしまう人も多いです。

 

本書にはそんな治療の過程が、日記のスタイルでありありと書かれているので、うつを治療したことのない方が、治療の流れやペースを理解するのに役に立つのではないかと思いました。

 

著者の山本さんのライフスタイルは、物書きという職業柄や、再婚された夫の方とは別居婚であることなど、われわれの生活とは少し変わっている部分もいくつかあります。中にはその部分を読んで違和感を感じる方もいるかもしれません。

 

それでもこの「再婚生活」は、「うつ」というしつこくてやっかいな病気との付き合い方の示唆を与えてくれる、貴重な一冊なのではないかと思い、こちらでも採りあげてみました。

 

おまけ

よろしければ、こちらの記事もどうぞ。

 

www.smartstyle-blog.net

 

www.smartstyle-blog.net

 

 

スポンサーリンク