ワンオペ育児を超えてゆけ

旧「羊の夜をビールで洗う」。シングルファーザーなプログラマーのワンオペ育児&暮らしのブログ。たまにガジェットネタも。

柴崎友香さんからの繋がりで、「人生の短さについて」を読む。

柴崎友香さんと言えば、2014年に「春の庭」で芥川賞を受賞された作家さんで、生粋の関西出身の方であり、「きょうのできごと」「フルタイムライフ」などの学生や社会人の若者の何気ない生活風景を綴った著作には、関西なじみの地名や駅名が数多く登場するので、親近感を持ちながら好んで読んでる作家さんの一人。

 

 

ところで、最近仕事に忙殺されていて、すっかり本はご無沙汰な私。けれど、少々マンネリ化していてモチベーションが低下しつつある仕事や、最近決めた転居で色々バタバタ動いている中で、特に大きな不満はないものの、何となく「今のペースのままでいいのかな~」とか、「この決断は正しかったのかな~」などど漠然とした不安をうっすら感じる今日この頃だったり。

 

 

そんな折、年末に「本特集だから」と半機械的に購入してちゃんと読めていなかった、Casa BRUTUSの「生き方を変える本」という特集号を何となく手にとってパラパラしていたら、その柴崎友香さんが推薦されていた本が面白そうだったので、今朝はそれを「ポチッとな」して読んでいました。

 

その本とはこちら。

 

 

著者のセネカは、古代ローマの哲学者。一世紀頃の激動の時代のローマ帝国において、悪名高き皇帝として知られるネロの教育に携わったり、皇帝就任後の補佐役を務めた人物だそう。そういえば、高校の時に習った倫理にそんな名前が出てきていたような...。

 

この本はそのセネカの思想に簡単に触れるための入門書として、代表的な作品三編「人生の短さについて」「母ヘルウィアへのなぐさめ」「心の安定について」が、簡易な表現で翻訳されて収められたもの。

 

表題作「人生の短さについて」は、要約すると、「表面な忙しさに囚われていると人生は短く感じるが、それは無用なことに人生の時間を浪費しているからであり、有用なことだけに慎ましく注力していれば、人生は長く有意義に使えるものなのである。」みたいなこと。

 

書いてあること自体は、巷に溢れている自己啓発本にあるような内容と大差ないように見えるけど、それを二千年も前に、ローマ帝国の中枢にいた哲学者の人が書いているっていうのが面白いなぁ、と。

 

例えば、ちょっとその一部を引用してみましょう。

 

ここで、最悪の事例の一つとして、酒と性に関することにしか時間を使おうとしない連中にふれておきたい。なぜなら、これほど恥ずべき時間の使い方をしている者はいないからだ。

(中略)

このような人たちが、どんな時間の過ごし方をしているか、余すところなく観察してみるといい。みたまえ。彼らが、どれだけ長い間、銭勘定をしているか。どれだけ長い間、悪だくみをしているか。どれだけ長い間、心配ごとをしているか。どれだけ長い間、ご機嫌とりをしているか。どれだけ長い間、ご機嫌とりをされているか。どれだけ長い間、裁判で訴えたり、訴えられたりしているか。どれだけ長い間、宴会をしているかーいまや、宴会に出ることが仕事になってしまっているではないか。

 

文章の訳が平易なのも手伝って、「昔の人が考えてることも、やっていることも、本っ当に変わんないな~!」と親近感を感じてしまったり、しませんか?

 

本の主題である、節制や身をわきまえて生きること、についての真っ当な教えの方よりも、私はむしろ人が二千年間こんなに変わらないありさまの方に、肩の力がふっと抜ける思いをしたのでした。

 

漠然とした不安や行き詰まり感を感じるときに、自分が好んで読んでいる作家さんから派生して出会った本に思わぬヒントを貰う、ということは、これまでにもたまにあって、そういうときに読書の醍醐味を感じたりするのですが、ひさびさにそのような瞬間に出会った日曜日の朝、だったのでしたとさ。

 

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ここ最近の読書ご無沙汰っぷりが伺える、私のKindle Voyageの状態。

 

ちなみにこの記事では、柴崎さんは他にも3作ほど書籍を推薦されているのですが、その中にあった『「思春期を考える」ことについて』という本も、なかなかに面白そうで、読書リストに加えておこうと思いました。

 

 

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