羊の夜をビールで洗う

読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

羊の夜をビールで洗う

シングルファーザーなプログラマーのワンオペ育児&暮らしのブログ。

仕事で奮起したいときに読み返す、真山仁さんの経済小説

平日に二日お休みがあった変則的な一週間も今日で終わりですね。明日からはまた、月曜から金曜までバリバリお仕事です。「よーし、明日からお仕事頑張るぞ〜」というときには、ビジネス書や自己啓発本を読むのもいいですが、経済小説もいい刺激になったりしますよね。

 

企業やサラリーマンなど、会社の中で起きている出来事をテーマにした経済小説というジャンルは、「官僚たちの夏」などが代表作である、城山三郎さんあたりが開拓した分野ですが、最近ではドラマが大ヒットした半沢直樹シリーズの池井戸潤さんなんかも人気ですね。

 

私はと言えば、「ハゲタカ」シリーズを代表作とする真山仁さんが、経済小説作家のなかでは好みです。真山さんはもともと新聞記者をされていたこともあって、取材力に優れており、小説の内容が濃いのと、小説の中の登場人物に、仕事に情熱を持った「デキる人」が多く出てくるので、こちらも読んでいるうちに仕事へのモチベーションが上がるんですよね。

 

外資系ファンドのマネージャー鷲津政彦と日本の老舗企業との駆け引きを巡る「ハゲタカ」シリーズも、もちろん読み応えがあるのですが、それ以外の書籍も、現実の日本経済や政治の問題とリンクしていて、考えさせられる内容の作品が多いです。ハゲタカシリーズ以外での、個人的なオススメ作品を二冊ほど挙げてみます。

 

真山仁 「ベイジン」

 

「ベイジン」はその名の通り、中国をテーマにした小説です。中国の原子力開発の現場に日本のエンジニアが派遣されて、面子を重んずる中国の官僚や日本の組織の上層部との板挟みになったり、紆余曲折を経ながら、原発建設を進めていく、というのが主なあらすじです。

 

中国についての記述の真偽はともかくとして、中国独特の倫理観やプライドに振り回される登場人物たちのジレンマの描写や、そんな状況下で安全を最優先させなければならない原発建設の仕事を、トラブルを乗り越えながらも進行させていく様には、鬼気迫るものがあり、自分も仕事に対してこうも真剣でありたいと思わされます。

 

2008年の北京五輪の頃に書かれた作品なので、3.11以前の時代の話なのですが、3.11以後の日本の原子力の問題と照らし合わせがら読むと、いろいろと考えさせられることも多い内容になっています。真山さんは「マグマ」という作品でも、エネルギー問題をテーマにした小説を書かれていて、このテーマについては特に問題意識が強いようです。

 

真山仁 「コラプティオ」

 

真山さんの本の中では珍しく、政治の側の視点から、震災後の日本の復興や原子力問題を描いた作品です。本に登場する独裁的なカリスマ政治家、宮藤隼人は、今の日本を鑑みると安部総理を連想させますが、本が出た当初は民主党政権でしたし、本での描写を見る限りは全盛期の小泉さんあたりをイメージしていそうです。

 

その宮藤に政策秘書として仕える若者と、大学が同期である新聞記者の二人を主人公として、ある一つの変死事件の謎を追うミステリー仕立てで物語が進行していきます。政治というさまざまな思惑や陰謀が飛び交う世界の中で、何が正義かを自らに問いながら、はじめは頼りなさげであった二人の若者がしたたかに成長していく物語は、政治に関わることを仕事としないものにも、何かしら訴えかけるものがあります。

 

真山さんといえば、ご本人が大阪の出身であることもあって、それぞれの小説に必ずと言っていいほど、アクの強い関西弁を話す強烈な脇役が登場するのも特徴的です。このコラプティオでも新聞記者の先輩役としてそのようなキャラクターが登場しますが、関西で働いていると「あー、こういう人いるいる。けど絶対一緒に働きたくないな〜。」と共感させられて、どうでも良いところで感情移入してしまったりも。けど、そんな脇役達もやっぱりその人物なりの信念を持っていたりするんですよね。 

 

真山さんの小説は、生き馬の目を抜かれる投資や政治の世界で、主人公の物語の形勢が二転三転するスピード感ももちろん魅力なのですが、やっぱり主役脇役問わず、登場人物たちの人物像に惹かれるところがあって、読み終えると背筋が正される思いになるんですよね。「あー、最近の自分、なんかすれてきているな〜。」と思っていたら、ふと手に取ってみるのもよいかも、です。

 

あ、たまたま取りあげたものがどちらも原発に関連した作品になってしまいましたが、私自身は原発について何かしらのスタンスも取っていないです。まぁ、手段はどうあれ、電気代はもうちょっと安くなったらいいな、と思いますけどネ!

スポンサーリンク