羊の夜をビールで洗う

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あの社長の再々復活はあるか?〜「社長失格」

大きな話題になっている大学を辞めて起業する方の話、「さすがにもーええやろ」と思い始めている人もいるかもですが、もう一つだけ関連するエントリを書いてみます。

 

www.ishidanohanashi.com

 

この記事に対するツッコミとして、「まだ何で起業するか決めていないのに大学を辞める決断をするなんて早すぎる」「起業が目的化しているんじゃないか?」というものを多く見かけましたが、私はその点にはそうは思いませんでした。

 

というのも、あふれる起業家精神を持った人って、どんな事業内容だろうとどんな時勢だろうと、とにかく起業してしまう人の方が多いのだろうと思っているからです。要はブログ書くのと一緒で、それが好きで仕方ないから本人は息を吸うように起業しているんですよね。

 

その一例として、思い出されたのが「社長失格」という本を出された、板倉雄一郎さんの話です。

 

 

医者の家系に生まれた板倉さんは、周囲が医者の道を望む中、「目立ちたがり」で「人真似嫌い」な性格から家を飛び出し、上智大学の理工学部に合格だけするものの、入学すらせずにゲームソフト制作の会社に就職し、わずか二ヶ月で独立してゲームソフト制作会社を設立します。

 

ゲームソフト会社は堅調に推移するものの、もっと新しい事業ができないか?と電話回線を利用したコミュニケーションサービスを立ち上げ、それが急成長。しかし、その会社で得た利益を株主に還元するか、さらに新しい事業に投資するかで意見が対立し、立ち上げた会社を自ら退社。具体的に新しい事業のアイデアが無い状態で株式会社ハイパーネット、を設立します。

 

その後、ハイパーネット社はダイアルQ2(懐かしい響きですね)を利用したオンラインサロンのサービスを足がかりに、インターネット黎明期の時流に乗って、世界初のプッシュ型広告配信サービスで、日米同時上場直前までこぎつけますが、資金調達に失敗して、個人として40億円近くの負債を抱えて倒産します。

 

この「社長失格」という本、アントレプレナーシップを語るときにたびたび話題になる本なので、ご存じの方も多いと思いますが、改めて読み返すとやっぱり面白いですね。

 

板倉さん自身が刺激的な事業を次々に求めて、事業のアイデアを形にするプロセスが、スピード感溢れる文章で赤裸々に語られているだけでも十分面白いのですが、その板倉さんの部下として、その後ドコモのケータイの顔となったあの夏野剛さんが、板倉さんの事業の海外展開に奔走して憔悴するほどに苦労される様子、なども書かれていて、登場人物もバリエーションに富んでいるんですよね。

 

その板倉さんですが、この「社長失格」というセンセーショナルな本を出版された後、しばらくコンサルタントとして活躍されていたようですが、やっぱり生来の起業家気質は押さえきれないようで、オンラインの音声会議システムを主事業とした会社「シナジードライブ」を立ち上げた経緯が、「社長復活」という続編に記されています。

 

 

「社長失格」の中での板倉さんは、社長になって少し羽振りが良くなったらいい車を買って、女遊びをして...という分かりやすい豪快さも印象的でしたが、そんな板倉さんの豪快っぷりとエネルギッシュさは、この本の中でも健在で、そのような豪快さやエネルギッシュさを持ち合わせていない私は、「元気だなぁ...このオッサン」と楽しみながら、この続編も面白く読ませて頂きました。

 

この本で、板倉さんが立ち上げた事業として紹介されている「ボイスリンク」というWEBサービスも、いちソフトウェア開発者として面白そうだな〜と思ったので、私も実際にアカウントを作って試用してみました。サービスを使ってみた印象としては、音声はクリアでしたし、斬新なアイデアがきちんと機能として動いている状態であったものの、ユーザインターフェイスにはまだ洗練が必要な印象を受けました。

 

その後の知らせでは、このボイスリンクもひっそりとサービス終了しているようで、この事業では板倉さんのリベンジとはならなかったようですね。

 

いしださんのエントリを読んで、板倉さんの本を読み返してみたら、初見で読んだときには、板倉さんが大学に入学すらしていなかったことはすっかり読み飛ばしていたことに気づいたり、起業という形ではなく会社の中で新事業を立ち上げるときにも参考になる部分を見つけたりと、思わぬ発見がありました。

 

ブログで「バズっている」エントリーを見つけたときには、そのエントリーそのものについて思考を巡らせるだけでなく、自分がそれまでに読んだ本や経験などに結びつけて考えてみると、より考えが広がるのかもしれませんね。

 

何はともあれ、起業というけもの道を選ばれた若いいしださんを私は応援したいですし、いくつになってもエネルギッシュな起業家精神が衰えないであろう板倉さんが「再々復活」するのもひそかに心待ちにしている私であります。

 

 

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